―『映画 太陽の子』(8/6公開)では、戦時下、軍の密命で原子核爆弾の研究開発を進める修と、その幼なじみの世津をそれぞれ演じられています。最初に脚本を読まれてどう思いましたか?
柳楽:
「『日本に原子の力を利用した新型爆弾を開発していた人たちがいた』ということを初めて知って、演じる上でたくさん勉強しなければ、と思いました」
有村:
「私も脚本を読んでその事実を初めて知り、衝撃を受けました」
柳楽:
「ただ、戦時下で懸命に生きた人たちの青春物語、かつ家族の物語でもあるのがステキだな、と」
有村:
「そんな家族の物語と新型爆弾の研究が交錯して描かれ、とても読み応えがありました。『ひよっこ』でご一緒した黒崎博監督が10年の月日と熱量をかけた企画であることにも心打たれましたし、一緒に頑張りたいと思いました」
―研究に情熱を傾ける修、戦争後の未来を見据える世津。それぞれの役にどう向かい合っていったのでしょうか。
柳楽:
「京都帝国大学で物理研究をしている修は、これまでの自分には全く縁のない世界で生きている人。彼らが研究開発を追求する姿と、僕ら俳優が役のために、彼らが何をしていたかを学ぼうとする姿やそのエネルギーが、自然とリンクしていったのがおもしろかったです」
有村:
「世津は、観て下さる方に最も近い感覚を持つ登場人物なので、彼女に寄り添って生きられたらいいな、と思いました。戦争を体験された方々の記事をたくさん読み、その中で出会った言葉や感覚をいただきながら、彼女が持つ葛藤や苦しみを内包しつつ、世津を演じるように心掛けました」
柳楽:
「前半はみな純粋な思いで開発に向かっていくのですが、段々と戦争を経ていくと、研究することを自己肯定できなくなって壊れる人も出て来て…。純粋さが狂気の方向にすり替わっていく修の感覚を、すごく怖く感じました」
―戦争を知らない世代が大半となった今、どんな風にこの映画を届けたいと思いますか?
柳楽:
「こういう作品を通して、戦争を“怖い”と思い続けてもらうことに意味があるし、とても必要なリアクションだと思うので、若い世代の方々に観て欲しいです」
有村:
「今の“失われていく日常”とも共通するものがありますが、戦禍を生きた人たちは、もっともっと心に傷を負って生きてきた。それくらいのことが歴史の中であったという事実を、私たちは残さなければいけない。同時に未来のために自分たちがどういう行動や発言をしていくか、未来を担う人たちにとっての映画だとも思います」
―お二人はCMでも共演されていますが、この作品を通して改めて感じられた役者としての魅力は?
柳楽:
「架純ちゃんはそこに居てもらえるだけで、すごく心強くて。黒崎博監督と『ひよっこ』で最強タッグを組んだ女優さんなので、共演するとなれば自然と僕も頑張らなければと思います。相乗効果が生まれた気がしました」
有村:
「現場での柳楽さんは、少年みたいな部分が垣間見られたかと思えば、とても大人な部分もあって、それが混在している印象でした。基本的に寡黙で、常に修行しているような感じもあって」
柳楽:
「わはは、修行僧!(笑)」
有村:
「本当に浮ついたところがなく、一つ一つ丁寧に向き合う姿がステキだと思いました」