―本格的な共演は、意外にもキャリアでは初になるわけですね。近作の『エクスペンダブルズ』シリーズでようやく実現したわけですが、1980~90年代に企画はなかったのですか?
いやいや、もちろん大昔にも2人で共演しようという、企画そのものはあったよ。
だが、いいと思うシナリオがなかったね。なかにはスライや自分が、途中で猿や犬になるヘンな脚本もあってね(笑)。
ちょっと前の『エクスペンダブルズ』('10)にカメオ出演を果たして、そのパート2では出演シーンが少しだけ多くなった。すでに撮影が終わっているパート3でも出演シーンが増えたが、まだまだだった。全編通した共演は、していなかったわけだ。
―今回の『大脱出』はCGやボディーダブルではない、生身のアクションが炸裂していますね。まさしくファン垂涎の対決で、ファンが観たかった共演シーンとして歴史に残ります。
そう。この映画は、ファン垂涎と言っていいだろう、シルヴェスター・スタローンとアーノルド・シュワルツェネッガーの格闘シーンがあるわけでね(笑)。
確か脚本上には“ここはファイトシーン”と簡単に書いてあるだけだったと思うが、それではファンの期待に応えたことにはならないだろう。自分たちの間には長い歴史があるわけで、その2人を戦わせて、どっちが勝つかということに世界中の映画ファンが興味を持っているわけだからね。
―世紀の対決、見せ場が満載!まるで両雄のために用意したような脚本だと思いました。
そうだね。自分はスライの単なるヒラメキで呼ばれただけだがね(笑)。ただ、この『大脱出』は特別に自分たちのために誰かが書いたものではなくて、偶然にもスライが手に取って、これであれば自分と2人が主役で共演できると思ったらしいよ。これまでの経験を活かしたアクションがあって、ストーリーも破綻していない。まあ、撮影ではお互いに歳を取ったと感じる瞬間が多々あったが(笑)、『大脱出』へのご招待はとても感謝しているよ。
―さて、ここ数年映画館は劇的な変化を遂げています。3Dは一般化して、4D、香りがする演出まであります。そのようななか、「イオンシネマ」も日々進化に対応したいと思っていますが、シュワルツェネッガーさんが思う理想の映画館は、どういうイメージでしょうか?
それはね、詳しくは考えたことがないが(笑)、韓国には270度の方向で映画を観る施設まであるようだね。ただ、僕にはね、映画館に対して、こうしてほしいという要望はない。
映画というものは、良いか悪いかだ。たとえ、椅子が動かなくても、匂いがしなくても、3D映画でなくても、音響が普通でも、いい映画はいい映画だ。だから、現状でいいと思う。映画が面白いかどうかの問題がまずあって、映画館の問題ではないような気がしているよ。
―なるほど。まずは映画人として、いい映画を作る責務と覚悟が必要、ということですね。
しかし、映画を興行側のビジネスとして受け止めた時、テレビの誕生以来、映画とテレビは激しく競争をしているわけだ。僕自身は、それはいいことだと思う。ライバル意識がいいものを作り上げていって、究極的には大衆のためになるものだからね。
すなわち、映画がテレビと競争し合った結果、映画館に新しい技術が生まれて、いま現在素晴らしい環境になっているということだ。競争が進歩した映画館を生み、いまや韓国では270度のスクリーンだ。結果として、観客を大切にしている映画館が、現にあるわけだ。
それはそれでとてもいいことだが、でも僕が映画館に対して何かを期待するということはないかな(笑)。
―ところで、主演作『ラストスタンド』('13)で本格復帰を果たして、主演作が続々と順調に続いていますよね。日本のファンは、『ターミネーター』シリーズも期待しちゃいますが。
いろいろとあったが、いい脚本が舞いこみ、納得いく作品が多いことはうれしい。『ターミネーター』シリーズ最新作の『Terminator: Genesis(原題)』については今年の4月に撮影が始まる予定で、監督は『マイティ・ソー ダーク・ワールド』を撮ったアラン・テイラーだ。自分も楽しみだよ。『ツインズ』('88)の続編で、『Triplets(原題)』も実現が近いよ。
『ツインズ』('88)の続編も楽しみです!映画にかける思いも、スケールが違いますね!
双子の次だからね。三つ子だよ(笑)。自分と、もちとんダニー・デヴィートも出る。そしてもう1人、エディ・マーフィが加わった3兄弟という設定だ。エディ・マーフィだよ!どういうこと?って、カンジだよな(笑)。しかも3人とも、もはやいい年齢なので、子供がいるという設定にした。
まてよ!?どういう子供?って、とても興味が湧くだろう?実に楽しい。今後も面白い設定やアイデアを活かして、いい映画を作り続けたいね。