―11/8(金)公開の『ひとよ』で、佐藤健さんは次男でフリーライターの雄二を、鈴木亮平さんは吃音で内向的な長男の大樹を、松岡茉優さんは末っ子の園子を演じられています。松岡さんはお2人と初共演ですが、3人がお互いに顔を合わせた際の印象などを教えてください。
鈴木:
「リハーサルも読み合わせもない現場で。冒頭のお墓参りのシーンで松岡さんにお会いし、うわ、15年経った園子は、こんなにやさぐれていたのか、と思いました」
松岡:
「最初は全部金髪にする予定でしたが、白石(和彌)監督とお話をし、数年前に何かがあり、染めるのを止めてしまった状態にしよう、と。何があったかは見てください! 佐藤さんは雄二のイメージに重ならなかったのですが、現場でお会いしたら、見たことのない、汚い佐藤さんがいらして(笑)。私は『ルーキーズ』世代なので、メッチャカッコいいお兄ちゃんだと思っていましたが、残念でした(笑)」
佐藤:
「自分では何の違和感もなかったけどな。僕は松岡さんを見て、ファッションも含め“あ、園子だ”と。僕は色白女子推しなので、松岡さんが色白で良かったです」
松岡:
「無事、推されました~!」
鈴木:
「現場では“垢抜けない松岡茉優バーション”だったので、今日の方が違和感ありますね」
松岡:
「ちょっとは可愛いですか?」
鈴木:
「いや、可愛い子ぶっちゃって、と(笑)」
松岡:
「あはは。今日、女優全開なんで」
2人:
「普通の女優は、そんなこと言わないよっ!! (笑)」
佐藤:
「亮平君とは『天皇の料理番』というドラマでも兄弟役で。最初から兄弟という関係に何の不安もなかったのは大きかったです」
鈴木:
「あの時は弟のことを常に考え、毎日、健の顔を思い浮かべて過ごしていたからなぁ。僕自身に対しては、最初に黄色い服でメガネをかけていたので、“デカいのび太がいるぞ”と思いました(笑)」
―15年ぶりに帰って来た母親に対する複雑な感情、喜びと拒絶、葛藤と愛憎など、誰が何を感じているのか掴み切れず、終始ハラハラさせられました。
佐藤:
「僕自身、台本を読んでも雄二の気持ちが分からなくて。これはもう、すべて監督に委ねようと、今回は何の準備もせずに現場に入りました。でも監督と話す前、とりあえず現場で共演者のみなさんの中でやってみたら、すごく気持ちのいいところがあって。共演者が今回のみなさんでなかったら、また全く違ったものになったんだろうな、と実感しました」
鈴木:
「母親に素直に愛情を示す園子と、最も素直に出さない雄二の間で、両方の感情を示すのが大樹。田中裕子さん扮する母親が帰って来た瞬間、大樹が扉を開け、母親の姿を見てバタッと閉じてしまう、みたいな(笑)。母に抱きしめられた瞬間の温もりや母の匂いを嗅いだ、その感動に身を任せたいけど、15年もそれを与えてくれなかった、という怒りや葛藤。その“嫌だ、嫌だ”という感情は、田中さんに愛情深く抱きしめられるまで、一切思ってもいなかったんです。新たな発見や反射があり、すごく面白かったです」
松岡:
「私自身は母が大大大好きで、15年も母がいない状態なんて全くピンと来なくて……。でも田中裕子さんのガラス越しの立ち姿だけで、本当に15年ぶりだって思わせてもらいました。今“家族”という言葉を聞いて、軽やかに“大好き”というよりも、何かしらゴロッとしたものを抱えている人の方が多いと思うんです。そういう気持ちが、この映画を観ることで許されて欲しいな、と思いながら撮っていました」