―今回の『身代わり忠臣蔵』ですが、日本中で愛される時代劇「忠臣蔵」をベースに、“身代わり”という斬新なアイディアが加わった時代劇ヒットメーカー・土橋章宏氏による小説の実写化です。
歌舞伎であったり、お正月に忠臣蔵が観られる時代があったり、おそらく世代によって捉え方はきっと違うんでしょうけれども、すごい大先輩方が演じられてきた忠臣蔵がベースにあります。ただ、今回の映画に関しては、史実であったり、そういったところは深く考えず、今作の大石内蔵助を作っていきました。
―演じられた大石内蔵助は、赤穂藩の腰抜け筆頭家老で、幕府からの圧力と、吉良家への討ち入りを求める声に日々頭を悩ませている役柄です。
今回の大石内蔵助は土橋さんが作り上げたキャラクターなので、情けなさだったり人間らしさが前に出ていると思います。赤穂藩の筆頭家老なので、身分としては偉い人ですが。武士としては時代背景としても、いろいろな形式があるとは思いますが、やっぱり人間じゃないですか。そういう意味で、どうバランスを崩していこうかなというところは、少し難しかったところですね。時代劇のお芝居の形式みたいなものを、どれくらい砕いていいのか。でも、どんどん新しい試みを受け入れてくれる撮影現場ではありました。
―映画がお好きとうかがいましたが、映画館で映画を観ますか?
時間がある時に、絶対にこれは映画館で観たいと思う作品は、映画館に観に行っています。最近ではディズニー100周年記念作品の『ウィッシュ』を観ました。いつもディズニー作品を観る時に、子供たちが観たいものって何だろうって思うんです。楽しみにしている子供たちが、いっぱいいるじゃないですか。子供たち、幼稚園生、小学生、中学生たちが観て面白い、感動するものって、どういう作りになってるのかなっていうことがすごく気になるんです。
―映画館で映画を観ることの醍醐味は、何だと思いますか?
たとえば子供は親に「何が起きているの?」と聞いたり、悲しくて泣いちゃう子もいて、アトラクション感といいますか、その空間の中で、親子で一緒に観ている感覚が僕はとても豊かな時間だと思います。最近改めて映画というのものは凄いエンターテインメントだと感じています。全く違った世界へ体ごと全部連れて行ってもらえますよね。その感覚も、皮膚の感覚や音、全部です。五感も研ぎ澄まされて、これはすごい職についたな…と改めて実感しています
―そして、主人公・吉良孝証(きらたかあき)とその兄・吉良上野介を演じるムロツヨシさんと約20年ぶりの共演も話題です。
ムロさんと20年ぶりにこういった形で共演できたこともすごくうれしいです。完成した作品を観て、みなさん素晴らしかったのですが、ムロさんが一番すごかった(笑)。ここ数年会ってはいなかったのですが、お芝居って何で対面して目を合わせなきゃいけないのか、ムロさんと目を合わせる瞬間が恥ずかしかった、照れ臭かったですね(笑)。
―映画を楽しみに待っている方たちへメッセージをお願いいたします。
ライトな気持ちで観ることができる時代劇で、むしろ時代劇というジャンルを超えてコントを観ているような、でもグッと心を掴まれるような描写もあり、あっという間にエンディングです。気軽な気持ちで観られますし、あまり深く考え込むということもない。観た後に普段の生活は難しいことを考えなくていい、もっと気楽に生きていいのではということが伝わったらないいなと思います。