―映画の脚本を読んだ時はどう感じましたか?
私はGReeeeNの皆さんは歯医者さんもしている、という情報しか持っていませんでした。たぶん映画を観る方もそうだと思いますが、あの人気グループがどう結成されたのかが、主人公の家庭環境も含めて描かれているので、まず興味の部分が先行していましたね。
―音楽を続けるか迷うヒデ(菅田将暉)を支える恋人・理香を演じるにあたり、どんな役作りをしたのでしょうか?
あえて役作りはしませんでした。今回はバンドの話が中心で、私の役はヒデの悩みを同い年の等身大の女の子を通して観る人に伝えること。だから心掛けたのは、現場でいかに自然にお芝居をするかですね。私の出演シーンは基本的に菅田将暉さんと2人なので、キャラクターを作るのではなく、菅田さんのお芝居に素直に反応することを大切にしました。
―兼重淳監督から、理香について何かお話はありましたか?
とにかく現代っ子でおしゃれには気を遣っていて、あと自分の意見は結構はっきり口にするという設定でした。監督は現場でも細かい指示を出すのではなく、演技に関しては任せてくれる方でした。雰囲気はふんわりして柔らかい方ですが、作りたいものに関して迷いがない。判断を求めても、すぐに答えが返ってくるんです。私は極力コミュニケーションを取りたいほうなので、とてもやりやすかったですね。
―理香はCDショップの店員ですが、忽那さん自身のCDショップの思い出は?
東京で暮らし始めたころは、毎週のようにCD屋さんに行っていました。今回撮影で使った渋谷のHMVにも通ったし、たくさんCDを買っていたと思います。新しい音楽を探していると何時間でも過ごせちゃう。音楽好きにとってCD屋さんのバイトは憧れなので、台本を読んだ時はちょっとうれしかったです。
―ヒデたちの初ライブのシーンも見応えがありました。
すごい熱気でした。エキストラの人たちも私と同じくらいの年齢の人が多く、みんな知っている曲なので、会場もすぐに盛り上がって。菅田さんたちも息切れするほど全力で歌っていましたね。みんなとても楽しそうでした。
―忽那さんのお知り合いに音楽をやっている方はいらっしゃるんですか?
ミュージシャンではないですが、高校時代の友達が地元で音楽をやっています。音楽は自分で作っていかなければならないので、同じ表現をする仕事でも、俳優とはまったく違う神経を使うんだと思います。映画の中でもジン(松坂桃李)やヒデが悩む姿が描かれていますが、自分でいちから生み出す大変さは、私には計り知れないですね。
―実際に完成した映画をご覧になっていかがでしたか?
久しぶりに純粋な青春ものに参加したなと感じました。とても気持ちのいい映画だし、思い返してみると現場もやっぱりそういう雰囲気だったなって。特に印象に残っているのが、ヒデがジンと兄弟ゲンカしたあとに、線路沿いの道を突然走り出すところ。その横顔をずっとスローモーションで捉えているんですけど、菅田さんの表情がとても清々しいなって。すごく青春していて大好きなシーンです。