-動物の体の仕組みを人体に置き換えた異色の図鑑が、まさかのアニメ映画化とは驚きました。オファーを受けて、どう思われましたか?
「脚本と同時に図鑑をいただいて知ったのですが、最初は“なんだこれ!?”と。でも、なんかおもしろい。ヴィレッジヴァンガードで売れていると聞き、なるほどな、と納得しました。僕もこういう、あまり注目しないような部分に注目したものが好きなので。例えば小学生の頃、『空想科学読本』という、アニメの世界で描かれているものを実際に物理の観点で計算するとどうなるか、ということを真面目に検証する本が大好きだったんです。それに共通するものを感じて。ちょっとした好奇心や一捻りを加えただけで、『こんなにもおもしろくなるのか、是非やらせてください!』と即決しました」
―演じたカメ田カメ郎をはじめ、他のキャラクターについて、どう感じましたか?
「みんな個性豊かですよね(笑)。最初は“人間にしたら、こんな形になるのか”と驚きましたが、それがアニメになって名前がつき、個性が出るのは新鮮でした。カメ田とカエル川が、いわゆるスクールカースト下位にいるのも、ちょっと納得しちゃって(笑)。キリン沢がカースト的に下位に居るのも、やっぱり草食だからでしょうか。リーダーはやっぱりライオンで、カースト上位にいるのは、サメやワニなど肉食系。そういう動物の特性も含んだ上でのキャラクターになっているのもおもしろかったです」
―陰キャ代表のカメ田に対して、演じるうちに愛を感じましたか?
「演じることで精一杯ではありましたが、もちろん愛を感じましたよ(笑)。特に中盤、キリン沢が思春期ならではの失敗をして、(学校とは別の方へ)転んでしまいますよね。カメ田やカエル川より、ある意味一足先に社会と関わりを持つ。カメ田たちに説いて聞かせるシーンは、そういう経験を経たからこその気持ち、カメ田たちを思っているからこそ出てくる言葉、そこにキリン沢のいろんな思いがこもっていて、純粋にいいシーンだと思いました」
―磯村勇斗さんが演じる、親友・カエル川との掛け合いが楽しいです。
「以前、共演シーンはなかったものの、映画『東京リベンジャーズ』でご一緒した時、共通の知り合いがいることもあって、撮影の合間によく話をしていたんです。もっとガッツリ一緒にお芝居したいです、という話をしていたので、今回声のみでのお芝居になりますが、磯村君と共演させて頂けてすごく嬉しかったです。掛け合いシーンは一緒に収録できたのですが、1人で録っていた時とは全く違っていっておもしろかったです。特に2人がじゃれ合うシーンは、やりながらその場でどんどん変化していって、すごく新鮮でした」
―お芝居と違って声だけでアドリブを出すのは、身体から出せない分、難しかったのでは?
「確かに普段、体で演じるタイプなので、全身でその役になっていると、どんどん身体から湧き出てくるようなものがありますが、顔の前にマイクがあって、そこで表現するとなると、どうしても頭で考えようとしてしまう。最初はなかなか掴めませんでしたが、相手が磯村君だったので、一緒に楽しみながら収録ができました。感謝しています」
―声優の仕事は、今回で2度目ですね。
「前作ではプロの声優さんに、本当にたくさんのことを教えていただきました。だからこその安心感もありましたが、今回はそれがない。しかも、出ずっぱりという、主人公を演じる上でのプレッシャーがありました。ただ、キャラクターは特殊ですが一つの学園モノのとして、無駄に力が入ることもなく、ナチュラルに出来たと思っています。声のお仕事は、やっぱりすごく楽しかったです」