―「旅猫リポート」(10月26日公開)のオファーを受けたときに感じられたことと、原作に対する感想を教えてください。
有川浩先生原作の作品は以前も出演させていただいた(『図書館戦争』シリーズ)ので、絶対にいい作品になるだろう、という確信がありました。実際に原作を読ませていただいて、有川先生が『一生に一本しか書けない物語』とおっしゃる意味がすごくわかるほど感動しました。
―今回は猫のナナとの共演でした。
猫は飼ったことがなく、扱い方がよく分からなかったので、最初は緊張していました。そしたら可愛くてフワフワしていて! ギュ~ッとしたいのに逃げられたり、猫パンチで拒絶されたり(笑)。でも今回は車で旅をするので、車内ではナナと2人きりのことが多く、段々慣れてくれました。シャワーシーンで、水が怖いのか、僕にしがみついてくれて、もう、すごく可愛かったです。
―ナナのために新しい飼い主を探す旅に出る悟のキャラクターを、どう捉えましたか。
丸くて角がないというくらいに、優しい好青年。こうした日常の人物を演じるのは、難しいと思いました。見る方の想像の範囲内に収めながらも、どう魅力的に映していくかを、すごく考えました。ただ、監督と初めてお会いした時、ナナと触れ合う自分を見て『福士君のそのままの感じがいいね。それで行こう』とおっしゃっていただき、すごく救われました。
―悟が訪ねるのは、昔の友達やお世話になった人々などです。とりわけ高校時代の友人夫婦を訪ねるエピソードが印象的でした。初恋の人でもある奥さんに、悟はある告白をします。
自分もすごく好きなシーンですが、撮影前はとても悩みました。脚本を読んだ時、“難しいなぁ”と(笑)。あの一言で、杉(大野拓朗)も千佳子さんも過去をすべて吹っ切って、新しい道に進むことが出来るようになるので、本当に難しい一言でした。
―わざわざ2人の呪縛を解いてあげるなんて、悟ってスゴイ人過ぎませんか?
こんな人本当にいるんだろうか?というほど、すごくイイ奴なんです。この旅は、ナナの飼い主を探しつつ、お世話になった人たちに“色んなことがあったけど、前に進んで生きて行こうよ”と言う旅でもあります。悟は育ってきた環境が苛酷だったからこそ、ここまでみんなに優しくなれるのかな、と想像しつつ、自分はここまで強くて優しくなれないなぁ、と思いながら演じていました。
―ナナの声を、高畑充希さんがアフレコしています。猫の声も入った映画を観た感想と、作品への思いを教えて下さい。
一言目で「ナナがしゃべった!」と驚きましたが、高畑さんの声質やしゃべり方が、ナナに馴染んでいて驚きました。実はナナは男の子ですが、ヒロイン感も漂っていて(笑)、余計に可愛く見えました。さらに自分の映画を観て初めて泣きました!! 猫と人間の繋がり、人間と人間の繋がりがしっかり描かれている作品なので、大事な人とどう接するのかを、見つめ直す機会になれば嬉しいです。