―ファン待望のフォースシーズン「策謀」全三章が3か月連続上映となりますが、今作の全体的な感想はいかがでしたか?
宮野:
今回の第4シーズンは、みなさんが一番気になっているであろう前回の終わり方、要塞対要塞の決着がどのように着くのか、というところでしょうか。作品的な面白さという意味でも、ものすごく壮大なものを見せてくれる最新作になっています。そこに度肝を抜かれるのではないかなと思いますし、戦争なのでそれを題材にすることの重さも感じました。
花澤:
わたしも戦争という部分では「こういう悪い考え方をする人たち、いそう!」など、いろいろな今の問題と重ねて観てしまうところはあるなと思いました。あとは今回活躍するキャラクターがいて、オスカー・フォン・ロイエンタールがかっこいいんです。今まではモテモテのいけすかない感じを醸し出している人だったのですが(笑)、ちゃんと今回戦うんです。
―それぞれのキャラクターは、どう理解して演じているのですか?
宮野:
ラインハルト・フォン・ローエングラムは才覚があり、大きな野心を遂行できる力も持っています。そのやり方も過激だからこそとても強い人間に見えるのですが、演じている自分としては彼の心の不安定さも見えてくるんです。すると真っ直ぐで純粋な人という面のほうが僕にはより色濃く見えてきて、ヒロイックに見えるんです。だからラインハルトはかっこいい。彼はヒーローだなと思うんです。
花澤:
ヒルダ(ヒルデガルド・フォン・マリーンドルフ)は穏やかで、包み込むような優しさを持っていますよね。あと、ヒルダの登場のシーンでお父さんと話している場面があり、その時に「この時代に産んでくれてありがとう」と言うのですが、世の中のがすごく動いている時に自分がそこに参加できる、参加したいと思うほど政治に関してすごく興味があるんです。自分の思う正義をちゃんと持っている、そういう女性だと思います。
―このプロジェクトに出会ってよかったと思うことは何でしょうか?
宮野:
「銀河英雄伝説」という大きな作品でここまで演じて来られた、ラインハルトとして存在するということにおいては、どんどんと自信を持つことができていますし、自分なりのラインハルト像が、しっかり出来て来たのではないかなと強く言えます。それは環境に恵まれ、制作陣が導いてくれた部分もあり、信頼できる仲間に囲まれたからこそ、自分なりのラインハルトを打ち出していけたと思っています。携われたことは自分にとっても大きな伝説になれたとも思います。
花澤:
今でも足りてない部分があるなあとすごく思うのですが、たぶん20代の時のわたしなら選ばれていなかったなと思っていて、それって今まで自分ができなかったことが、ちょっとずつできるようになったからなのかなと思うんです。宮野さんもおっしゃっていますが、宮野さんをはじめ、本当に素敵なキャストのみなさんとお芝居が出来て、それに引き上げられている部分がすごくあると思っていますので、そういう現場にいられることは、すごくありがたいことだなと思っています。
―おふたりはこだわりの映画館の楽しみ方などはありますか?
宮野:
(席は)真ん中ですかね。真ん中のちょい前め(笑)。前めだと見にくいという方もいらっしゃるかも知れないですが、僕は前で迫力を感じたい派です。せっかく映画館で映画を観ているので。そしてポップコーンは、キャラメルと塩のダブル。飲みものは、コーラ一択です!
花澤:
わたしは一番後ろの列に座ります。真ん中寄りですが、ちょっと端の席に座ります。入りやすくて出やすい位置、ですね(笑)。帰る時も出やすいので、なんとなくそこが安心する位置なんです。ポップコーンは、わたしもキャラメルと塩で、ホットココアがあれば最高です!
―たくさん映画が公開されますが、どうやって作品を選びますか?
花澤:
映画館に行くまでの時間に、映画評論のラジオを聴いたりしています。映画館へ行くきっかけが、ラジオだったりするんです。好きな映画評論家の方がいて、その方が紹介している作品が流れていると鑑賞ポイントも分かったりするので、わたしは事前に情報を入れますね。それで興味が出てくる映画もあるんです。
宮野:
僕は事前の情報は…最近は自分の作品しか観に行っていないかも(笑)。
花澤:
それはたくさん出ていらっしゃるから(笑)。
宮野:
というのも、試写に行けなかったりすることもあるので、ちゃんと映画館で観るようにしているんです。
―お客さんと一緒に観る気分はいかがですか?
宮野:
『トップガン マーヴェリック』(ルースター役)を観に行った時に年配の方が多くて、吹替えで観てくれるんだって、とてもうれしかったです。隣の方に座っていた男性もポケットからハンカチを出して泣いていたので、僕も感動しました。
花澤:
わたしも行ける時は自分の作品を観に行きます。やっぱりドキドキします(笑)。自分がしゃべっているシーンでは「大丈夫かな?」って。
―最後になりますが、一言メッセージをお願いいたします。
宮野:
前回の衝撃的な結末がドン!と来るのが今回の「策謀」の始まりです。そしてこのサブタイトルにあるように今まで帝国軍対同盟軍だったところに、フェザーンが入って来ることにより、三つ巴どころではないような、一筋縄ではいかなくなる、とても入り組んだ戦いが行なわれます。そこには人の欲望、それこそ策謀が入り組み、野心のぶつかり合いになります。人間ドラマの面白さはどんどん濃くなっていくと思うので、そういうところも楽しんでいただければと思います。
花澤:
この作品から初めて入るってなると物怖じしちゃうかも知れないのですが、わたし自身も関わる時に物語が壮大なイメージがあって、ちゃんと理解できるかなと不安だったところもあるのですが、入ってしまえば本当に続きが気になって仕方がないくらい楽しみになりました。この前のお話や、こういうインタビュー記事で手がかりを見つけていただいて、ぜひ思い切って「銀河英雄伝説」の世界に飛び込んでほしいなと思います。