―今回の『親のお金は誰のもの 法定相続人』ですが、最初に台本を読まれた時の感想はいかがでしたか?
最初、相続や法定相続人の話を扱うということで興味が沸いて読み始めたのですが、田中光敏監督の伝えたい愛や家族の物語、真珠を作ることがどれだけ大変か、そしてそれをめぐる相続の話など、テーマがたくさんある作品なので、観る人それぞれの視点で楽しめる映画になるだろうと思いました。
―演じる城島龍之介は、成年後見を専門とする弁護士役です。
田中監督とお会いする機会が何度かあり、次の作品で弁護士の役を演じてほしいと言われていたんです。彼は育ちの影響でお金しか信用しないタイプで、普通に見れば嫌な奴なのですが、どこかかわいそうであり、切ない感じもあり、人間らしい所を残したいと。その田中監督の思いのもと一緒に作りました。
―本作に関わったことで、お金について考えを新たにはしましたか?
僕が思うには、その人にとって必要な分だけのお金があれば、それでいいのではないかと思うんです。人それぞれでお金の価値って変わるだろうなと思います。
―映画館で映画を観ることの醍醐味についてどのように考えていますか?
大きなスクリーン、大迫力の音響設備は、映画館に勝てるものはないですよね。自宅に巨大なシアタールームを作れれば、それはそれでまた良いとは思いますが、映画館で映画を観るって一手間かけている感じがありますよね。お金を払って出かけて観る。僕はその意義を大事にしていますし、ぜひ映画館で映画を観てほしいと思います。
―そもそも映画は、映画館で上映するために撮っているものですからね。
そうなんですよね。映画館用に映画を撮っているからこそ僕も映画館へ行きますし、あの空間でしか味わえないものがありますよね。あの独特な匂いも意外といいですよね(笑)。今はデジタルですが、昔のフィルムの時も味わい深いものがありました。映画館でしか味わえない空気感も好きですね。
―映画館での自分だけのこだわりの映画の楽しみ方はありますか?
ひとりで行く時は、食べものも、飲みものも買わないです。集中して観てすぐ帰る感じなのですが、座席はいつもだいたい真ん中の後方の座席で、空いている時間を狙って行くようにしています。ひとりの時は集中して観て、楽しみたい時は誰かと行く。僕は映画をそういう楽しみ方で鑑賞しています。
―三重県・伊勢志摩の景色も美しかったですが、撮影の思い出は?
牡蠣が、本当に美味しかったです。また、毎回お昼の休憩のお弁当やケータリングにはボランティアの方々が来てくださって、毎日助かりました。海のものだけでなくお肉もあり、何でもあるんです。また行くのが楽しみです。
―共演者の方たちとのエピソードを教えてください。
僕は小手伸也さんといるシーンが多かったのですが、今回のロケ地である伊勢志摩に伝わる日本神話についての話をたくさんしていただきました。小手さんは知識量が半端ないんです(笑)。日本神話は知らないことばかりで、驚くことばかりでした。
―最後になりますが、映画を待っている方に一言お願いいたします。
法律、相続、真珠、そして家族と、観る人によって、まったく違う感想を抱かれるかも知れません。1回だけ観るだけでなく、2回目も観ると、点と点がつながっていくと思うんです。ぜひご覧ください。