―今回、「パーフェクトワールド 君といる奇跡」(10/5公開)で初めて共演したお互いの印象を教えてください。
杉咲:
岩田さんは常に優しくて、すごく気遣いをされる方でした。キャストやスタッフさんの誰とでも仲良くされていて、現場のペースや空気を見ながら、 みんなに疲れが出てくると楽しませてくださったり、話しかけられたりしていて。 だから、女性だけではなく、男性スタッフも岩田さんのことが大好きで、岩田さんが現場にいないと、みんなちょっと寂しそうでした。それぐらい、大きな存在でしたね。
岩田:
嘘です(笑)。
杉咲:
嘘じゃないです(笑)。
岩田:
でも、花ちゃんも夜遅くまでかかったロケの撮影の時などは、お菓子をいっぱい持ってきて、配っていたよね。 あれは、男性スタッフは特に嬉しいよ(笑)。花ちゃんが「チョコにしますか? 飴にしますか?」って言いながら、直接手渡してくれるんだから。 俺には出来ないと思ったけれど(笑)、花ちゃんのそういう気遣いのおかげで、現場がいい雰囲気になっていったと思うし、チームワークもどんどんよくなっていったよね。
杉咲:
岩田さんも差し入れをいっぱいしてくれましたよね。焼肉ロールやかき氷、カフェカーにクレープ屋さんの差し入れが次々にあって、とにかくスゴかった。みんな大喜びで、列ができていました。
岩田:
暑い時期の撮影だったから、ドリンクなどの冷たいものは喜んでもらえたような気がするな。
―柴山健次監督(「流れ星が消えないうちに」)からはどんな指示がありましたか?
杉咲:
そうですね。つぐみは社会人ですけど、撮影時の私はまだ10代で、ただでさえ童顔で子供っぽく見られるので、大人っぽく見せなきゃと思って、そこに徹していたんです。 でも、監督から「それだと、冷めた女の子に見えるから、もっと無邪気でいいよ」とアドバイスをいただきました。その言葉をすごく覚えていますね。
岩田:
監督は役者が考えてきたものを切り取りたい方だったので、正直、具体的なことは何も言われなかったです。どちらかと言うと、現場で監督や花ちゃん、 スタッフさんとディスカッションしながら、みんなで作っていった印象があって。僕はいい物作りの現場だなと思っていました。
―撮影でいちばん印象に残っているエピソードを教えてください。
岩田:
杉咲さん扮するつぐみが電車のホームから落ちてしまって、僕の演じた車イスに乗った樹が助けられないシーンですね。あれは原作のコミックにもあるんですけど、とても実写化し甲斐があるところで、胸がグッと苦しくなる瞬間だと思うんですよ。この作品の“障がい”というテーマが、言葉ではなく、あのシーンだけで伝わるじゃないですか。僕も喉が枯れるんじゃないかと思ったぐらい、叫び続けました(笑)。
―実際のホームと電車を使って撮影したんですよね?
岩田:
そうです。ただ、終電が終わった後に撮影したんですけど、電車を動かすことができる時間帯が決まっていて。数時間しか狙えない状況であのシーンを撮影しましたね。
―杉咲さんが印象に残っている撮影は?
杉咲:
私は、つぐみが病室で樹先輩の絵を手伝う、夜から朝になっていくシーンがすごく印象に残っています。あのシーンは長回しで、照明さんが少しずつ光を変えながら撮ったんですよ。
岩田:
全然カットがかからないなと思っていた(笑)。
杉咲:
ずっと寝てましたよね(笑)。
岩田:
そのまま本当に寝そうだったから、すごく記憶に残っています。
杉咲:
でも、あの後、つぐみが寝ている先輩の手を握るシーンもあって、叶わない恋と分かっていながら、自分の想いをどうしても抑えられなくて、衝動的にそういう行動に出てしまうつぐみが私は好きでしたね。