―10巻からなる髙田郁による累計400万部を超える大人気の同名小説を映画化した「みをつくし料理帖」(10/16公開)。本作は、その前半3巻を中心に映画化されていますが、原作または脚本を読まれて、どんな感想を持たれましたか。
脚本と原作も読ませていただき、すごく大好きな作品になりました。何度も「食は、人の天なり」という言葉が出てきますが、読んでいる最中やこの作品に関わっているときは、「もう少し考えて日々の生活を丁寧に送らないといけないな」と本当に思わされました。映画は澪と野江ちゃんの友情に、より焦点が当てられているので、私がグッときたシーンも野江ちゃんとのシーンが多かったですね。澪の中で「道はひとつきり」という思いの軸になるのが野江ちゃんの存在なので、2人の関係性や友情について、幼馴染の存在とはどういうものなのかなど、クランクイン前はずっと考えていました。現場では、野江ちゃんを演じた奈緒さんと、いつの間にか自然と仲良くなれていました。
―女料理人の澪という女性を作るうえで、“下がり眉”というのが、ビジュアルとしても一つの注目ポイントです。抜群の“下がり眉”具合でしたね!
原作にもその言葉が何度も登場していて、非常に大切だと私自身も思ったので、そこは気になる点でした。いい感じの下がり眉にならないかな、表情筋でどうにかならないだろうか、と鏡の前で練習をしたりもしました (笑)。相談したメイクさんから「メイクで補える部分もあるから大丈夫」と言っていただけて……。周りからも、「大事なのはそこじゃないから」とアドバイスされたり、現場でも「下がっていない」等々と言われたりしなかったので、きっと大丈夫だと思うことにしました。原作ファンの方々が思い描く“下がり眉”になっているかは不安ですが、そこはあまり注目せずに観ていただけたら(笑)、ありがたいです!
―澪を“下がり眉”と呼ぶ御膳奉行・小松原さまを演じるのは、窪塚洋介さんです。小松原さまを誰が演じるかというのも原作ファンにはかなり重要なポイントですが、イメージがピッタリで嬉しくなりました。
あの独特な雰囲気やたたずまいは、窪塚さんだからこそ出せる味だな、と私も思いました。ああいう方が時々“つる家”にフラッと現れて、印象に残る一言を残して帰られたら、そりゃ気になる人になってしまうよな、と(笑)。その窪塚さんが、お会いする度に私のことを「まんま、澪だね」とおっしゃって下さって。全巻お読みになられて現場に入られた窪塚さんのその言葉は、すごく大きかったですし、自信につながりました。