―推理小説の登場人物となり、参加者が話し合いながら事件の解決を目指す体験型ゲームのシステムをベースにした『劇場版 マーダー★ミステリー 探偵・斑目瑞男の事件簿 鬼灯村伝説呪いの血』ですが、オファーがあった時はいかがでしたか?
僕はアドリブが苦手なので、実は最初お断りしたのですが、『竜二Forever』(02)のプロデューサーに熱く口説かれまして(笑)。最後に首を縦に振ってしまいました。ルールは分かっていましたが、どういうものかは分からず、でも緊張もなく反射神経だけで演じていた感じです。
―被害者の幼馴染で村の実力者という役の設定のまま、推理をしなければならないわけですよね。
そうですね。とにかく僕は疑われないために人になすりつけていて、若干高圧的で威圧的、人を攻撃して反応を見るという、出来るだけ自分が攻撃されないようにしていました。それは進めながら思い付いたのですが、彼のようなおじさんはそういうポジションのままいけたのでよかったです。
―撮影中の推理やセリフは、すべてご本人任せだったのでしょうか?
まったく演出はないんです。僕らはところどころのシチュエーションしか与えられないので、言ってみればエチュードのような感じです。だからワークショップなどでエチュードをやった時みたいな。そういうことを思い出して恥ずかしかったので、もう2回目はないと思います(笑)。
―普段、映画館で映画を観ることはありますか?
出来るだけ時間がある時は映画館で映画を観たいなと思っているので、月に1本か2本、という感じですかね。話題作、単館系のもの、並行して観ています。僕はドラマの仕事が多いので、映画の作りがものすごく楽しそうに見えるので、いろいろな作品に興味があります。僕は子どもの頃のあこがれは映画の世界だったので、いまだに強いあこがれがありますね。
―映画館で観る醍醐味やこだわりの見方についてはいかがでしょうか?
映像の美しさを堪能出来ることと、あと僕は音が好きですかね。音の臨場感がとても好きなんです。あとはどこか閉鎖的で、あの時間はちょっとだけ浮世から離れられる。それが貴重な時間ですかね。席はできるだけ後ろのほうに座ります。映画は、ひとりで観に行くことが多いので、観ている時の飲食はしませんね。
―あこがれが強いという映画ですが、改めてその魅力とは何でしょうか?
自宅にシアタールームを作っていたりするので、映画への想いはあるんです。テレビドラマはどこかキャラクターとして動いていく印象がありますが、映画は人物がちゃんと人間として動きますよね。懐の深さを映画には感じます。そこには自由もあるし、僕もそういう世界で演じたいと思う。そういう世界に飛び込み、自由になってみたいと思っているんです。
―今回の作品ですが、密室での推理を見せるミステリーになりましたね。
僕は昔からこういう密室系のものは好きでした。面白いですよね。ただ、全部アドリブだから表層的なお芝居で恥ずかしいのですが、人間慌てている時は、実はそういう感じかなとも思ったり、変な声を出してみたり、素になってみたりもしたのですが、そういう意味では勉強になりましたし、みなさんも雨降るおかしな館に閉じ込められて、一緒に楽しんでいただけたらと思いますね(笑)。
―俳優として、全部即興の作品を体験してみていかがでしたか?
2回目はないと言いましたが、これが意外と楽しかったんです(笑)。反射神経だけでやってなんとかなっちゃう感じが、こういうのもありなのかなと。むしろこういう芝居が出来ることが、反対にいいのかなとも思いました。完全にノープランの推理ですから、プランを持っていたとしても追いつかないと思うんですよね。でも、素直な気持ちで芝居ができた感じはありました。勉強になりました。
―『劇場版 マーダー★ミステリー 探偵・斑目瑞男の事件簿 鬼灯村伝説呪いの血』ですが、どういう方に観てほしいでしょうか?
ゲームを元にしていますので、推理しながら観るわけですが、みんなアドリブでやっているので、観ているほうも付いていくことが難しいはずです。意識がけっこう揺さぶられると思うんです。結果的にそう仕上がっていたので、推理モノとしては面白く出来上がっていますよね。「これはもう難しいな」という、ご自分も参加されているような気分、あの部屋に閉じ込められている感覚で観ていただければと思います。