―9月20日全国公開のスリラー映画「見えない目撃者」で、吉岡さんは猟奇殺人事件の犯人を“耳で”目撃してしまう、目が見えない元警官なつめを演じられました。“目が見えない”ということも含め、役作りは、これまでと違うアプローチが必要だったのではないでしょうか。
吉岡:
これまでも癖のある役は多かったのですが、今回はハンディを抱えて心を閉ざしている、というのがスタート地点。エンターテイメント作品としては、最初に観客の心を掴み、ずっと一緒に走っていただかなければならないので、鬱屈した気持ちを抱えつつ戦っていくなつめの芯の強さをどう出すか、より慎重に、冷静に表現していこうと思いました。一方で“目が見えない”という表現は、本当に難しかったです。準備期間に取材をさせていただき、日々の生活についてなど積極的にお話して下さった皆さんに、すごく助けられました。監督はじめスタッフみんなで相談しながら作り上げていった感じです。
―一方で高杉さんが演じた、同じ事件を目撃する高校生の春馬も、孤独を抱えているという役ですね。
高杉:
最初は孤独を抱えていますが、どんどん成長していく、そのスタートとゴールが分かりやすいので、その変化を分かりやすく見せたいと思いました。春馬が“夢”を抱くようになる物語の流れに、事件を共に戦った刑事たちの思いの引継ぎや“希望”になれたらいいな、と思いながら演じました。
―それぞれ、なつめ、春馬に対して共感は持てましたか。
吉岡:
諦めない心というか、絶対に逃げちゃいけない瞬間があって、そういうときの人間の底力や強さには、すごく共感しました。なつめも追い込まれ、とにかく自分の中から掻き集め、振り絞って何とか頑張ったんだろうな、と。
高杉:
春馬をはじめ登場する少年少女たちの、色んなことに対する諦めや興味のなさは、高校生くらいの時期にありがちだと思うんです。僕はやりたいことがあったから迷わず仕事に就けましたが、迷ったまま大人になっていくって、すごく怖いことだと僕もよく分かります。