―「青夏 きみに恋した30日」(8月1日公開)の撮影を振り返って、どんな現場だったか教えてください。
葵:
すごく自然が豊かな三重県で、ウグイスの声を聞きながら、1か月そこで過ごして撮影しました
佐野:
本当に山の中で、東京では聞けないような動物の鳴き声や物音、川や山など、大自然に囲まれて。 一足先に夏休みを過ごした感じですが、実際には4~5月だったので、かなり寒かったです(笑)
―高校1年生の都会から来たいまどきな女の子、理緒。対して吟蔵は高校3年生の地元の男の子です。
葵:
メイクや服装で出ていると思いますが、私はさほど“いまどき”感は意識しませんでした。それよりも真っ直ぐで元気な子、と。 私自身は、何かをする前にいろいろと考えて止めてしまうことが多いので、やってから後悔する理緒のことが、 羨ましいと思う気持ち半分、ちょっと考えられないぞ、という気持ち半分で(笑)
佐野:
僕は、やってから後悔する理緒タイプの人間なので、色々なことを考えて決断する吟蔵を、原作コミックを読んだときに滅茶苦茶カッコいいな、と思いました。 原作ファンは、“すごくカッコイイ吟蔵”をイメージしているんだろうな…と思って、正直、ヤバイぞ、と思ってました(笑)
―おふたりは映画「くちびるに歌を」でも共演されています。あれから4年、再共演した感想を教えてください。
葵:
前回は、佐野さんとの2人芝居がなかったので、懐かしいという気持ちはほとんどなく、“前から知っている人だけど、初めて組む”、という印象でしたね
佐野:
僕も、再共演という気持ちは湧かなくて。でも、『大人になったな、落ち着いたな』と思うのと同時に、『4年間すごく頑張っていたんだな』と実感しました。 引き出しの多さもそうですし、監督に意見を言って話し合いながら撮影を進めるところとか、すごいな、と。葵さんと同世代というのもあり、すごく勉強になった1か月でした
葵:
ホント? 私は佐野さんの“変わらなさ”を逆に感じました。監督にもボランティアで参加して下さる方にも、誰に対しても同じ目線で接して、温かいところがまったく変わっていないな、と。 現場では、W主演として2人でどこまで盛り上げられるか、ということを常に考えていました
―全体を通して印象的なシーンを挙げるとしたら、どこでしょう?
佐野:
花火のシーンです。ここで理緒が告白してくれて、吟蔵も理緒のことが好きなのに、“ごめん”と言っちゃう、すごくつらいシーンでもあって
葵:
このシーンにたどり着くまでは、本当に甘酸っぱくて爽やかさが満載なんです。でも急に切なくなっていく、その切り替え場面でもあります。 吟蔵と理緒の立場が少しずつ逆転していくのも、見どころかな。前半は理緒が原動力となって物語を動かしていくのですが、後半は吟蔵が物語を動かしていく感じですね
―おふたりとも、自分とは正反対の役に入り込むコツやきっかけとなった言葉や出来事はありましたか。
佐野:
僕は割と適当な人間で、つまり、あまり自分に自信がないのですが、最初に監督から『自信を持て』と言われたことが大きかったです。 吟蔵もさほど自信満々な子ではないですが、『自分への自信がなかったら、吟蔵のさりげないカッコ良さは出ないぞ』と言われて
葵:
私は、最初の本読みの時、頑張って幼く理緒を演じたつもりだったのに、吟蔵より年上に感じた、と監督に言われて。それで、くそ~と思いました(笑)。 どこまでやればいいかは監督しか分からないから、“ここでいいかな”と判断するのは止め、思い切りやってみよう、と。 私の闘いは、そこから始まっていたんです(笑)