―映画『暗黒女子』は、セレブな女子高等学院の文学サークルが舞台です。それゆえ女子だらけの現場でしたが、“黒一点”としてどう過ごされましたか。
女性が集団でいると思わず“怖い!”と感じてしまうので、現場に入る時は委縮しました。撮影中はいつも片隅で大人しくしていましたよ(笑)。もっとも、僕の撮影日数がそう多くはなかったというのもありますけど。
―台本を読まれた感想は? どこにおもしろさを感じましたか。
第一印象は、自分の出演シーンが「ほとんどキスシーンだなあ」と(笑)。女子生徒が主体で進んでいく物語のなかにあって、僕が演じた北条先生は、聖職である教師の面と、その一方で一人の男でもある面を出す役どころです。その差をどう出していけるかなあ、と思っていました。
―実際に、キスシーンの撮影は、いかがでしたか?
すっごく大変でしたよ(笑)! 監督がひとしきり説明されたあと、「じゃ、任せた」とひと言おっしゃられて。引っ張っていってね、ということですが、僕自身あまりそういうシーンを演じたことがなかったので…。気持ちの入れ方が難しいというより、どう見せるか、その手順というか、さばき方というか。今回は、ふたりの“秘密の花園”的な世界観での秘め事であり、場面によっては爆発するので、ここは美しく見えたほうがいい、逆にここは乱れていたほうがいい、といったさじ加減が難しかったですね。
―自殺か、他殺か、それとも事故か。文学サークルの会長であるいつみの謎の死にまつわる衝撃のミステリーが展開しますが、千葉さんが考える本作の魅力は、ズバリどこでしょう?
やっぱり“イヤミス”(後味の悪さがクセになるミステリー)らしい、いかにドロドロするか、という点ですね。それが後半にギュッと詰まっているので、前半の和やかさがあとから考えると余計に怖くなる。結末を知ってもう一度観てもおもしろいと思います。
―文学サークルの部員はみんな、美しい表の顔と恐るべき裏の顔を持っています。女性のそんな姿に驚きましたか?
いえ、元々そういう印象を持っていたので(笑)。男子校出身なので、昔から女性は怖いと思っていました。ただ、それは女性に限らないかもしれないですね。彼女たちも一人一人は問題ないのに、集団になるとカーストみたいなものができるからこそ、怖くなるわけで。
―さて、昨年は『殿、利息でござる!』で日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞されるなど、役者として飛躍の時期ですね。
実は自分では、すごく中途半端な時期だと思っているんです。先生役も演じれば、まだ学生役も演じていますし…。いろんな役をやらせていただけて、すごく恵まれていますが、大勢の若手の役者のなかで“何々系”とくくられて、まだ一人の役者として見てもらえていないと思うんです。この先、そういう余計なものが排除されてからが、自分が試される、勝負だと思います。怖くもありますが、いまはやったことのない役やシーンをどんどん経験したいです。
―具体的に目指している役者像はありますか?
たくさんいるのですが、昔からレオナルド・ディカプリオが大好きです。いま気になっているのは、エズラ・ミラーやベン・ウィショーですね。特にウィショーが演じる役は、僕も挑んでみたいと思うことが多いです。