―「ヒキタさん! ご懐妊ですよ」(10/4公開)は、“男の妊活”を描いた画期的な作品です。オファーを受けられたとき、予備知識はどの程度おありだったのでしょうか?
ほぼ知りませんでした。本作に携わることで、こんなにも多くの方々が不妊に悩み、妊活をされているということを初めて知り、非常に驚きました。僕の周囲にいなかったというより、妊活をされている多くの方々は、誰も共感してくれないだろうと人に言わない方が多いそうで。だから逆にこの映画を通して、みんなで悩みを共有したり、話し合えるきっかけになってくれたらいいな、と思いました。
―撮影前に、何か準備はされましたか?
実際に病院に行き、妊活で通われている方たちとお話をしたり、病院や治療の現場の空気などを体感したりしました。こういう部屋で採精するのか、こんなものが置いてあるのか、治療する部屋はどうなっているのかなどを知って。その後は撮影を通して、実際にヒキタさんご本人が経験されたことを、勉強しながら追体験していった感じです。
―原作エッセイを書かれたヒキタクニオさんご本人とは、お会いされましたか?
「凶気の桜」「鳶がクルリと」など、なかなかマッチョな作品を書かれている方ですが、ご本人もなかなかにマッチョな方で(笑)。そんな方が、こういうエッセイを書かれたことが、なんだか“可愛らしいぞ”と思いました。映画で、その“可愛らしい”部分を増幅させたら面白いかな、と頭をよぎりました。撮影中に慰問に来られた際、現場で北川景子さんが自分の嫁さん役をやっていることを意識されてか、“うちの嫁も可愛いんだ”とさかんに熱弁を振るわれていて、愛すべき作家先生でしたよ(笑)。