―今回、日本語吹替え版のオファーが来た時、率直にいかがでしたか?
ありがたいことに何度目かの声優のお仕事なんです。俳優で出た作品は年齢制限がつくものが多く、子どもと観れないんですが、『ミュータント・タートルズ:ミュータント・パニック!』は子どもに見せられる映画なんです。これまで声優で参加した作品も全部子どもと映画館へ観に行っているのですが、今回も一緒に観に行けるなって、率直にそう思いました。
―そして、人間社会の乗っ取りを目論むスーパー知能を持ったハエのミュータント、スーパーフライ役です。
スーパーフライは人間界に恨みを持っていて、彼らを支配しようと目論んでいます。人間は動物を檻に閉じ込めたりしますが、その逆をしようとしている。そんなセリフも出て来ます。僕がこういう作品でいいなと思うのは、両方の言い分に理があること。そのほうが深みが出ますし、彼の横暴な行動の理由には人間にも非があるのではと、自省をうながされます。
―そういうテーマ性などを、お子さんに説明もできますよね。
できますよね。教育とか大袈裟なことではないけれども、スーパーフライが言っていることは1から100まで間違いではないですし、ただ、さっきも言いましたが、あんまり教育的なことになるとまでは考えてないのですが、何か感じてもらえればと思って子どもには見せたいと思いました。
―お子さんに『ミュータント・タートルズ:ミュータント・パニック!』を見せたいとのことですが、映画館にはよく行かれますか?
家族でよく行きますよ。最近だと家族3人でハリソン・フォードの『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』、『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』など、息子が行きたい映画を観に行くという感じですかね(笑)。映画は、映画館でしか味わえないものがあると思いますし、それは特別な空間であると思うので、なるべく映画は映画館で観たいですね。かつて自分で声を当てた『インサイド・ヘッド』、『ライオン・キング』なども映画館に観に行きました。
―映画館での自分だけのこだわりの映画の楽しみ方はありますか?
ウチは必ずポップコーンやジュースを買いますね。それらを座席にセットできるのがすごいですよね。昔、買う時に座席に行ったらこぼしたりしないのか心配でしたけど、うまく出来ているなといつも思います。座席で言うと、座るなら真ん中よりも後ろのほうですかね。
―子どもの頃の映画館での思い出は?
初めて見た実写の映画は母親と観た渡辺篤史さん主演の『先生のつうしんぼ』(77)で、後は『聖職の碑』(78)という映画も記憶にあります。鶴田浩二さん、大竹しのぶさんなどが出られていて、映画館の独特の雰囲気とともによく覚えています。それに自分が今出る側になっているのは、不思議な感じがします。なので、お客さんにそれを見せたいという想いと、子どもの頃に大人たちに混じって観た映画に自分が出る以上、作品のためにいい芝居をしたいと思うんです。
―今回の『ミュータント・タートルズ:ミュータント・パニック!』、4人のタートルズが、とても魅力的でしたよね。
映画を観終わる頃には、老若男女、4人のタートルズが好きになると思います。第一に面白いですよね。4人の関係性、役割分担みたいなもの、4人で作る空気感、それが笑えて面白いんです。彼らは地下で一生懸命生きているので、普通のティーンエージャーとして高校に通いたい夢を持っている。真面目でひたむきで、愛される要素が満載じゃないですか。
―アメリカのポップカルチャーも満載ですが、作品を鑑賞された全体的な感想はいかがでしたか?
映像も独特でね。テレビの形も四角じゃなかったり(笑)。それこそアメリカのポップカルチャーに詳しくなくても楽しめると思いますし、アメリカってこうなのかっていうことが垣間見える意味の楽しさがありますね。
―最後になりますが、映画を待っている方に一言お願いいたします。
映像も独特で音楽も良くてとにかくストーリーもしっかりしていて、よく出来ていると思いました。年齢問わず、老いも若きも子どもも、性別も問わず、みんなが楽しめる作品だと思うので、ぜひお友達同士、カップル、家族、あるいはひとりでも! いろいろな人に観てほしいと思います。