―待望の続編だったと思いますが、改めて“るろ剣”の現場に入った時はいかがでしたか?
前作もものすごい熱量でしたが、今回はそれを超えるぞっていうパワーに満ちていて、それを着々と大友(啓史)監督と剣心(佐藤健)が積み重ねていく、とても熱い現場でした。今回の薫は剣心と一緒のシーンが少なかったので、一緒に話すとかご飯に行くような時間がなかなか取れなかったけれど、どこかでつながっていて、皆で一緒にすごい景色を見ようという勢いを共有していた気がします。すごい緊張感に満ちた現場で撮影していました。
―今作では、武井さん演じる神谷薫も激しいアクションをしていますよね。大変でしたか?
一か月くらい練習時間はありましたが、今回は薙刀という長い剣を使っていて、前作とは全然違いました。基礎的なことは前回練習していたので、事前に何度も繰り返し練習しましたが、現場に行ったら怖くて(笑)。もう必死でした。今回はハードルがグッと上がっていて、どう映像になるのか、本当に皆死なないかな? と思うくらい激しかったですね。最初はどうなるかまったくわからなかったので、完成したことを思うと鳥肌がたちますね。
―その薫は、前作に比べてタフな印象を受けました。前作との差を意識して演じましたか?
大友監督には前回に比べて成長した薫でいてほしいと言われていて、監督は細かく説明はしないので、キーワードをヒントに自分で広げていく作業をしました。成長した薫は、剣心を想う気持ちがあってこその薫のアクションを繰り出していくということだったので、やられればやられるほど剣心に対する強い想いを感じると思ったし、女の子一人で立ち向かっちゃうけれど、それが薫の真っ直ぐな想いだろうと受け止めながら演じていましたね。
―『るろうに剣心 京都大火編/伝説の最期編』は夏休み公開ですが、夏休みの映画の思い出はありますか?
夏は暑いので涼しい場所に行こうという意味で、映画館も選択肢の一つです(笑)。この年齢になってよく映画館に行くようになりましたが、映画館の空気っていうか、場所がすごく好きです。一つの空間で皆一緒に映画を観て、すごいエネルギーやパワー、気をぶつけてくる、あの空間が好き。それと、自分には持っていない価値観がスポッと自分の中に入ってくる、あの浸れる感じもすごくいいです。プラス涼しい、飲み物も食べ物もあって(笑)。
―昔に比べると、シネコン時代の今は、立地的にも映画館には通いやすくなりましたよね。
そうですね。わたし自身は頻繁に映画館に通うっていう感覚ではなかったですが、それこそ子供の頃は映画館で映画を観ること自体が一つのイベントに近かったと思います。家族や友だちと一緒に映画に行くこと自体が一つの大きな約束で、そういう意味では当時は気軽な感覚では映画館へ行ってなかったですね。最近も、たくさんは行けていないですが(笑)。
―たとえば“るろ剣”を始め、自分が出ている作品をこっそり観に行くことはありますか?
ありますよ(笑)。前作は、シネコンに観に行きました。自分の目で大きなスクリーンで観たかったので、2回ほど、1人で観に行きましたね。前作は激しいアクションシーンが多かったので、お客さんが息をしているかなって心配になるほど、フリーズしている感覚がよかったです(笑)。よかった、報われたと思って観ていましたね。今回も行こうと思います(笑)。
―今作もですが、映画を観ると、一気に作品世界へとトリップする醍醐味がありますよね?
そうですよね。映画一本観るだけで、時代や情報、その時代の人間、人柄、洋服や言葉など、一気に多くの情報が入ってくる。勉強にもなって、面白いですよね。最近観た映画の話ですが、ブラッド・ピットさんの『ジョー・ブラックをよろしく』(98)という映画を観ましたが、最初にスローで始まって、突然バーン! と事故になって、その瞬間のハッ! となる感覚がすごく好きです。時間は止まっているけれど、頭の中でいろいろ考えるような感覚がすごくよかった(笑)。映画を観ていくなかで、そういう瞬間に出会いたいですね。
―発見した時の感激ってありますよね。予告編だけでは見抜けなかったような映画の発見。
映画なので、観れば正解はわかりますが、予告編を観て、映画館へ来て下さる方、そうじゃない方もいるので、(事前のアナウンスは)何かあってもいいですよね。特に“るろ剣”は心の準備をしないで観るとフリーズしてしまうかもしれないので、観る前に気持ちの準備をしたほうがいい映画かも(笑)。そういう意味ではサポートは必要かもしれないですね。
―総スクリーン数日本一で誕生したイオンシネマはおかげさまで一周年を迎え、今後もいい映画を届けてまいります。映画を待っている人たちへ、メッセージをお願いいたします!
すごいですね! それは行かなくては(笑)。“るろ剣”は本当に嘘がない映画なので、リアリティーを作ろうとしなくても、リアルなものを見せようとしているので、そこがすごく気持ちいい作品です。最近、映画館で映画を観ていて、自分が持っていない価値観を知ることがすごく面白いなって話をしましたが、“るろ剣”の場合は時代が現代とは違うものの、昔の日本にはこういう人々がいた、という目線で観ると発見もあると思います。彼らが、あそこまで戦う理由を考えると、見せるだけの映画じゃなくて、深いメッセージ性もある映画だとも思います。映画館で、そういうところまで伝わればいいなって思いますね。